「四畳半神話大系」と「さらい屋五葉」、ともに視聴完了

どちらも、序盤ややダルく、後半に折り返した辺りで妙味が最高潮に増して、そして揃って不完全燃焼気味さがやや惜しい終わり方をした。(ラスト付近で急にBL濃度が増したのも一緒だ)
四畳半神話大系」は、湯浅監督のオリジナリティの源泉であるところの“存在そのものの不気味”加減が相当毒抜きされている点が物足りなくもあり、新鮮でもあり。ストーリーを追うことを楽しむタイプの作品ではないなと感じていたものの、三“人”の女性を一人ずつ追いかける比較章からグッと作劇に求心力を増した。ただ!最終話でふっきれてからの「私」があまりにも爽やかすぎて別人のよう。ああなれるタイプならそもそも四畳半に籠もらないと思うんだけど。最後に最大に褒めたいのはギャグが半テンポ外しながらもそこがかえってケッサクだった点。きれいな「私」の顔のさりげない少女漫画ライズとか、本気で蛾フォビアなヒロインがわなわなと両手を震わせて息を荒らげてるとかで笑った。
さらい屋五葉」の序盤はさらにダルかったが、五人の関係性、人となりがゆっくりと明かされる事で見える世界の変貌という空気感の確かさは、さすが望月監督という感じ。ただ!弥一こと誠之進が二度目の仲間内殺人を犯したことへの言及もフォローも描かないままに政之助の膝で泣かせ、あまつさせダンゴ串ぱくっという甘え描写をラストカットに持ってくるというのは審美主義が過ぎていると思うんだ… それにしてもディテールの見事さは最終話まで貫かれていた。あの安酒屋のふちの欠けたぐい呑みとかたまらんね。