中条省平は二度死ぬ!

中条省平は二度死ぬ

中条省平は二度死ぬ

自伝的中編エッセイにより、書題が単なる映画パロディではないと知らされる趣向。一度目に評論家として死ぬ前の、映画評の衒学ぶりがすさまじい。コメントの引き合いに出された四方田犬彦でなくともこの早熟ぶりには驚くしかない。…今まで中条氏の各種レビューを、的確だけどやや底が浅いと思っていた自分の浅はかさが鮮やかにひっくり返された。なかなか粋な構成だと思う。あと映画評が、原点だけあってどれも対照作品をより輝かせる最適な鏡の役割を果たしていて魅了された。