ガンダム宇宙世紀大全

すでに一週間前に放映は済んでいますが、『記録映像』パートでまだ録画消化していないものもある。けど構成上のブリッジとなる『宇宙世紀の歴史が動いた』(リュースケ・ヒカワの的確な解説もさることながらケイシ・ナイトウの見事なナビこそ本番組MVP)はじめ、企画部分はすべて見た。一番興味深かったのは『ドキュメントアニメ新世紀宣言』ね。当時の宣伝担当者の真剣さ(読み上げられた宣言内容はガチで名文だと思う)、ファンがあたらしいアニメの楽しみ方を求めていた熱気とが、現在の当人たちにインタビューする事で明らかに。ガンダムファンの裾野の豊かさがまじまじと分かりました。他にも富野監督本人をハブにして(笑)付き合いのある面子で映像とともに語られる『富野語録』(ロランの演技が男の子らしくないと悩む朴さんに掛けられたカントクの暖かい言葉にきゅん。)やら、福井晴敏ホームシアター付きな自宅の豪華さ(笑)やら毎回見所のあるまさに自分世代ズキュンな構成ぶり。ここまで大人向けに作られたガンダム包括コンテンツって無かったんでない? で、今回ありがたかったと同時にショックだったのは、自分が宇宙世紀シリーズの時間軸の視点を鳥瞰して個別の作戦の意味合いを理解するという事がほとんど全然できていないってのが分かったこと。たとえば、Zガンダムジャブローを攻略するのが何を狙ってのエゥーゴの行動なのかとか、よく理解できないまま見てた。これ恥ずかしいけどホントの話。で、今回の番組で歴史書で読むがごとくダイジェストで年代毎に追い、合間に解説を聴くことでジオニズムがいかにして興ってどういう風にモメて結局は時間の果てに有耶無耶になっていったかが、かなり分かりました。そして、やはり個人的にもっとも共感して見られるのはVガンダムであるということ。ウッソはもしかしたらシャアの愛人であったナナイ・ミゲルの末裔なのかもしれない。けど富野監督がその説を否定したのは、それがVガンダムの時代においては意味を為さないという事でもあったのではないかと。主義や大義がもはや人々の堅持された行動指針にならない時代。そんな混沌と倦怠感とがあの作品には満ちている(「ジブラルタル攻防」での護るべき対象がコロコロ変わるウッソ、あるいは「天使たちの昇天」でのもはや敵味方が意味をなさない混乱した前線)。けどそんな中で、地球居住者とスペースノイドを繋ぐ象徴であるマスドライバーのレールを守って殉死する非正規兵がいたって事にアナクロな感動を覚えたりもする。今回の番組内でたった三話しかセレクトできなかった中で、「ジブラルタル攻防」を選んだ人はすごいなあ。そしてVガンはやはり自分のアニメ好きとしての第二の原点。それは今も、たぶんこれからも変わらないとあらためて思ったのでした。