カイバ#3

「クロニコのながぐつ」:手塚治虫がつくりたかったTV制作ベースでのアニメの、完成形を見せられた気分になったセンチメンタル回でした。緻密な絵コンテ、シンプルさゆえのフェティシズムを極めた作画、古典的な人情ドラマに淡々と付けることで逆にメッセージ性を浮かびあげる演出。…少女クロニコのボディに入った青年カイバというエロス要素とそれに惚れてしまうバニラ(桑島法子キャラのいきあたりばったり系悪女伝説ハイリマシター)というコメディ部分を除けば、これまでの二話分と空気が違う。これはしみじみ面白いシリーズになりそうだとここに来て実感した。というか、クロニコと叔母の徐々に変質していった年月の記憶に泣いたわ。姪を死に追いやった叔母の、心が通じ合っていたころの記憶は宙ぶらりんとなったけど、そのあずかり知らぬところでクロニコのボディだけは生きのびた。その事があるいは一つの救いなのかもしれない。…ところでなんでクロニコのボディが運搬役に捨てられたかについてはよく分からなかった。ここまで毎回だと、不条理な行動を住人たちがとるというのがこの世界のデフォルトなのかと思ってしまいますね。