キューティー&ボクサー(’13 米/監督:ザッカリー・ハインザーリング)

「ボクシング・ペインティング」の作品やダンボールを用いたコミカルな立体像を発表し続けてきた在米40年のアーティスト篠原有司男と、彼の妻で20歳年下のイラストレイター乃り子。彼らのニューヨークでの暮らしをロックのリズムに乗せて追うドキュメンタリー。1/4ぐらいは乃り子の筆によるドローイングを用いたアニメーションで構成されており、適度なメリハリで観ていて飽きなかった。自分が予告編で惹かれた、乃り子の年齢を超えた美しさから期待を裏切られない内容だった。日々の生活費に頭を悩ませながらも芸術家として生きる二人の生活からは悲壮や停滞感はない(風に撮られている)。これは移民を広く受け入れる他民族国家アメリカの肖像画であり、芸術家映画であり、老境を考える人生作品。私もこういう風に年を撮りたい。