「ガンダムビルドファイターズ」全25話視聴完了

宇宙世紀マニアとは呼べるかもしれないが、MSバトルそのものについてはさしたる興味も鑑賞眼も持ち合わせていない自分には、対戦競技としてのMS描写には正直あまり集中して楽しむことができなかった。が、それでも本作のドラマ面のクオリティの高さは客観的に評価できるものだったと考える。ただ、プラフスキー粒子やレイジの母国に絡めての寓意なども少しの匙加減でも入れておいてくれれば、シリーズ構成にさらに深みが出たのではとも感じた。メインスタッフはそのままで、キャラを新世代に入れ替えた次シリーズがあればいいなと今は思う。

「ノラガミ」全12話視聴完了

真冬という放映時期とぴったり合致しての季節感がある作品だったが、それは同時に八百万の神を強く意識する年越しのシーズンでもあり、それが外郭の仕掛けとして意図的なものかどうかは分からないが、淡い感情のやり取りが軸のドラマにしては印象が色鮮やかに残った。穏やかで優しく、それでいて芯が強いヒロインのひよりを中心にした存在の種別を超えた“縁”の物語として、アクションアニメでありながらもアットホームさが漂う独特な作品だった。作画の透明感のある美しさは、一定のクオリティが保たれていて眼福。

「スペース☆ダンディ」全13話視聴完了

徹頭徹尾オムニバスを貫いた潔い構成だった。第1話で徹底したナンセンスを行い、放映最終話でちょっとだけウエットな恋愛話をやるバランス感覚のよさが何より素晴らしかった。第二期でも動画クオリティと豊かなバラエティを期待してます。

「凪のあすから」全26話視聴完了

P.A.WORKSらしい、肝心の終盤で起伏にびみょうに欠ける印象ではあるが、全体的に凪の海のような雰囲気の作品であったので、これはこれで味わい深い。寓話としての強度はやや弱めで、そこがとっつきやすさでもあり、とっかかりの無さでもあり。ただ、2クール目で恋愛要素が複雑に絡み始めた時にはすなおに見ごたえを感じた。手堅い作品でありました。

「キルラキル」全24話視聴完了

舞台芝居においては、生身の演者の肉体を介して物語が構成されるために、現実世界における世代別ステレオタイプがおのずと有効化される。本作中盤における、流子が生みの母に晦渋されて“良い娘”となり世間の押し付けのままに服を着せられるというアナロジーや、最終回での「セーラー服とは卒業するものだ」というセリフの感覚はそこから由来するものと自分はみた。劇団付脚本家として名を馳せてきた中島かずき氏のシナリオは、アニメの土台とするには演出上の工夫がより細心に必要なのではないかと思った次第だが、そういったシーンごとの前後の繋がりの薄さ、見せ場ごとのインパクトに押される形の構成の組み立ての弱さを差し引いてなお、パワーが鮮烈な作品ではあった。サブキャラクターに過ぎないかと思われていたマコ、主人公並みの強い個性をそれぞれ見せていた本能字学園四天王など、好感の持てる登場人物の多さも特徴的。

「ログ・ホライズン」全25話視聴完了

ETVらしさと公営放送らしくなさとが絶妙にマッチしていた快作で、同シーズンのアニメの中では図抜けて拾い物となった。中でも、のっぽでおせっかい焼きの五十鈴とわけありプレイヤーのルンデルハウスの友情以上恋愛未満な関係性は微笑ましくも清々しく、視ていて心が洗われる爽快感があった。武力やカリスマ性でなく、調整力や策謀性で世に出る主人公という、まるで官僚のようなタイプを肯定する珍しいアニメであり、地味なようでいて起伏に富んだ細心の演出と構成のタッグの巧さには何度も唸らされた。第二シーズンにも期待。